電源を押してから起動まで3分以上かかってしまうパソコンを早くしたいと、ご依頼をいただきました。
※この記事はパソコンスクールの受講とは関係ありません。技術的な備忘録の記事になります。
今回はメモリの交換(増設)とハードディスクをSSD(エスエスディー、早い記憶装置です)へ交換する作業(換装)を行いました。
パソコンはノートパソコンでDELLのinspirion14Rです。左下が交換予定のメモリ(容量16ギガ)、右下がSSD(容量1000ギガ = 1テラ)になります。
バッテリーを外す
まずは、安全の為にバッテリーを取り外します
両サイドのツメを外に動かすとバッテリーを外すことができます
バッテリーが外れました
カバーを外す
次に裏側のカバーを開ける為、ドライバーでネジを1か所外します
隙間にドライバーを入れて、カバーを徐々に外していきます。何か所か小さなツメで固定されています
カバーが外れました
右下が上下にメモリ2枚、左下の黒い所がハードディスクになります
メモリの交換
まずはメモリの取り外しからスタート
両サイドのツメを外側に開けばメモリが上に跳ね上がります
跳ね上がったメモリを抜き出します
指の乾燥が気になりますが^^;上下の2枚とも取り外します
2枚とも外れました
新しいメモリと交換します
メモリは使用していたものと同じ型番(系統)を購入すれば安全です
新しいメモリを取り付けて、8G(ギガ)から16Gへパワーアップしました
これだけでも、パソコンの起動時間は3分から1分半になりました
ハードディスクの取り外し
ハードディスクを取り外すために奥にあるネジ(1か所)をドライバーで外します
黒いつまみを持って、左へスライドさせると接続を外すことができます
右側もドライバーで持ち上げると取り出すことができます
ハードディスクを取り出しました
ハードディスクのカバーを外します
※パソコンに取り付けるためのカバーになりますので、後で交換したSSDへ取り付けます
黒いプラスチックカバーもペリペリと剝がします
カートリッジやケーブルの取り付け
取り出したハードディスクはカートリッジ(1,000円前後)へ入れて、外付けのハードディスクとして使用できるようにします
カートリッジの接続側を外します
ハードディスクへ取り付けます
カートリッジへ挿入します
これで外付けのハードディスクとして使うことができます
SSDの準備
SSDへ接続ケーブルを取り付けます
接続キットのケーブルは2,000円程度で販売されています。数年前に購入した時は5,000円くらいでした。
パソコンへ接続
パソコンへハードディスクとSSDを接続します
ハードディスクの内容をSSDへコピー
ハードディスクとSSDをパソコンに繋げて、ハードディスクの内容をSSDへまるまるコピーします
今回はEaseUS(イーザス)のDiskCopy(ディスクコピー)を使用しました。
ダウンロードしてダブルクリックすれば起動できます。
価格は2,390円(税込2,629円)-紹介ページはこちら-
画面左から「ディスクモード」を選択して、コピー元になるハードディスク「ディスク1」を選択し「次へ」をクリック
ターゲット(コピー先)は、SSD(ディスク2)を選択します
環境によって表示される番号は変わるので注意が必要です
一番下の「セクターバイセクター方式のコピー」をチェックしてみました
これで確実にまるまるコピーされて安心
「セクターバイセクター方式のコピー」は、容量が同じもの同士でコピーするときに使用します
確実に同じもの(クローン)を作る時に使用するチェックです
最終確認画面で「実行」を押してコピーが開始されます
1テラのハードディスクから、同じ容量のSSDへコピーするのに7時間くらいかかります
パソコンの性能やケーブルの速度にもよりますが、夜に始めて朝には終わる感じです
実際の経過時間は7時間11分でした
時間はかかりましたが、ディスクの完全コピー(クローン)が完成しました
ディスクの管理でSSDに赤いマークが付き、使用できないオフラインの状態でした
右クリックでオンラインに切り替えます
Fドライブとして認識され使えるようになり、まったく同じ内容のディスクが完成しました
あとは、取り外した時と逆の流れで取り付けていきます
電源を入れて確認
わくわくしながら電源オン!
ブルースクリーン・・・
見たくなかった・・・ガクリ
気を取り直して、今回も色々試しながらトライ&エラーの挑戦です
こんなトラブルの積み重ねで成長させて頂きました^^;
ここから下は、専門的になります
同じ症状で大変な方や、また同じ状態になるであろう私に向けて残す記録です
【その後の状況と対処】
1.セットアップディスクから起動
Windowsが起動しなくなったら、セットアップディスク(CD)からWindowsを起動します
2.SSDを起動ディスク(ブート)にコマンドを入力
コマンドプロンプトからSSDを起動ディスクにする為のコマンドを入力
bootrec /FixMbr
bootrec /Fixboot
bootrec /RebuildBcd
Windowsのインストールのスキャンは成功しました。・・・出来たと思ったのに
インストールをブート一覧に追加しますが? もちろんYesのY
要求されたシステムデバイスが見つかりません。
認識したのに、直後に見つかりませんて・・・^^;
パソコンは奥ゆかしい、このツンデレにはまっていきます
エラーも表示され、再起動してみても状況変わらず
3.ブートローダーのリストを確認
「bcdedit」と入力してエンター
ブートローダーのリストを確認できるはずが・・・
ブート構成のデータストアを開けませんでした。
アクセスが拒否されました。
はじめて_| ̄|○
以前はbcdeditコマンドでブートローダーを書き換えて修復できたのですが、残念!!
今回は解決できず、まだ先がありました。
4.ブートモードの変更
パソコン起動時に「F2」キーをポチポチ連打してBIOS(バイオス)を起動
ブートモードを変更してみます
UEFIだったものをLegacyへ変更・・・パソコン起動せず
再度UEFIに戻しました
システムディスクがMBRの場合はLegacy
GPTの場合はUEFIに設定します
最近のパソコンはGPT、UEFIの組み合わせが多いようです
5.ブートの設定変更
コマンドプロンプトでの操作になります
diskpart
list volume
表示されるリストからEFIのシステムパーティションを見つけます
FAT32(昔のフォーマット)と書かれたものがEFIのシステムパーティションです
そのボリュームを選択します
たとえば2番目のパーティションであれば
select volume 2
そのパーティションの操作ができるようにドライブレター(今回はmドライブ)を割り当てます
assign letter = m
exit
上記のexitでディスクパートを終了します
EFIのシステムパーティションにmを割り当てたイメージです
コマンドプロンプトで以下のコマンドを入力
【多分こんな意味合い】
カンレント(対象)をmドライブの記載したフォルダに指定
該当ドライブのブートを修復
cd /d m: \EFI\Microsoft\Boot\
bootrec /fixboot
BCDファイルをBCD.bakへリネーム(別の名前へ変更)して保管
ren BCD BCD.bak
CドライブのBCDファイルをmドライブへコピーして、mドライブから起動するようにします
bcdboot c:\windows /l ja-jp /s m: /f ALL
exit
exitで終了して再起動・・・
再起動すると、パソコンが正常に立ち上がりました!!
起動に3分かかったパソコンは20秒程度で起動するようになりました
結果として
今回使用したDiskCopyは、インストールしたパソコンのハードディスクを接続したSSDへクローンするには最適
通常の換装のように、それぞれ取り出したハードディスクとSSDを外付け同士でクローンした場合、今回のような起動に関する調整が必要
ブートローダーの書き換えができない場合は、EFIパーティションの操作で解決できる見込みが高い
また、ひとつレベルが上がりました
20代のころにパソコンの色々なトラブルを解決して今の対応力が身に付いたと実感しました
MS-DOSというOSのころに叩いたコマンドや命令が現在も使えることはありがたい
現在のパソコンは、見た目も分かりやすく、操作も簡単になりました
起動のトラブルなどは、以前の経験と技術が活かせるままになっているところも嬉しく思います
50代になって物忘れも多くなってきましたが、今のパソコンに寄り添いながら技術力の向上は続きそうです